猛禽類の足と爪は、獲物をつかみ、逃がさないように押さえるための重要な部分です。食事のときにも、足で餌を固定しながらくちばしを使う姿が見られます。
私が飼っているハリスホークは、普段グローブの上にいるときと、獲物を見つけて興奮したときで、足に入る力が大きく違うと感じます。餌を押さえて食べる姿を見ていると、「恐竜のようだな」と思うこともあります。
この記事では、足と爪の役割について研究から分かることと、私のハリスホークで実際に見てきた行動を紹介します。
猛禽類の足・爪・くちばしは、どう使われる?
猛禽類の捕食では、足でつかむ力だけでなく、爪で保持することや、くちばしを使うことなどが組み合わさります。種類や獲物によって、その使い方は異なります。
猛禽類の爪を比較したFowlerほかの研究では、指ごとの爪の大きさや形の違いが、獲物を押さえる方法と関連していると報告されています。小さな獲物を足で包むように保持する場合と、大きな獲物を体重も使って押さえる場合では、必要な働きも違います。
「猛禽類なら、すべて同じ足で同じように狩りをする」とは言えません。
出典:Fowlerほか(2009)Predatory Functional Morphology in Raptors
タカとハヤブサでは、足とくちばしへの依存も異なる
北米のハイタカ属とハヤブサ属を比較した研究では、前者は獲物を仕留める際に主に足を使い、後者はくちばしを使う傾向があると説明されています。
ただし、これは対象となった鳥の比較です。ハリスホークを含めた猛禽類全体の握る力を、この研究だけで順位付けすることはできません。
タカ・ワシ・ハヤブサなどの種類については、猛禽類の種類一覧で紹介しています。
ハリスホークは片足でも両足でも餌を押さえる

飼育中の食事の一場面。足で餌を押さえている様子。
私のハリスホークが餌を押さえるときは、片足のこともあれば、両足のこともあります。いつも決まった使い方をしているわけではありません。
餌の大きさと足の使い方の関係を記録してきたわけではないため、「小さい餌なら必ず片足、大きい餌なら必ず両足」といった規則までは分かりません。
足で餌を押さえながら、くちばしで食べる。その姿を近くで見ると、足はただ止まり木にとまるためだけのものではないと実感します。
※この節に掲載する実例写真には、食事中の餌が写っています。
以前から、餌を足で押さえる姿には恐竜のような迫力を感じていました。これは私の見た印象ですが、普段の落ち着いた姿との違いがよく伝わる場面です。
餌の種類や食べ方については、猛禽類は何を食べる?ハリスホークの食事の実例もご覧ください。
普段と興奮したときで、足に感じる力が違う
普段は乗っているだけでも、獲物を見つけると力が入る
グローブの上で落ち着いているときは、私には「ただ乗っている」という感覚です。ところが、獲物を見つけたり興奮したりすると、足にぐっと力が入ります。
その強さは、私の感覚では人の手では簡単に開けられないほどです。見た目だけでは分からない力を、グローブ越しに感じます。
ただし、これは握る力を測定した結果ではありません。「握力が何キロある」「人間より何倍強い」という数値には置き換えられません。
足に入る力が、何かに気づいた手掛かりになることもある
足に力が入ったと思ったらヤブの中を見つめていて、その後、そこから鳥が飛び出した経験もあります。私が鳥を見つける前に、ハリスホークはそちらに反応していました。
この経験は、猛禽類の視力とハリスホークの目のよさを感じた体験で詳しく紹介しています。
なお、足に力が入ったという反応だけで、獲物を見つけたと断定することはできません。ここでは、私の個体で見られた場面の一つとして紹介しています。
狩猟を覚えてから見られた「頭取り」
私のハリスホークでは、狩猟を覚えてから、獲物の頭を足でつかむ行動が見られるようになりました。私がここで「頭取り」と呼んでいるのは、この動作です。
獲物をどこでも同じようにつかむのではなく、頭をつかむ姿が印象に残っています。ただし、すべてのハリスホークが必ず同じ行動をする、という意味ではありません。
また、頭を足でつかむことと、頭から食べ始めることは別です。私が見ている範囲では、羽をむしってから食べるものの、どこから食べ始めるかに決まった特徴はあまり感じていません。
握る力や爪の鋭さを、手で試さない
私が感じた力の強さは、触って確かめることを勧めるための話ではありません。強く握っている足を無理に開こうとしたり、力を試すために興奮させたりすることは避けてください。
グローブを使っていても、どんな状態でもけがを防げるという保証にはなりません。普段落ち着いている個体でも、獲物や周囲への反応が変わることを意識しておきたいところです。
私が使ってきた用品については、ハリスホークのグローブの選び方|手作り・オーダー品を使った実体験にまとめています。
猛禽類の足と爪について、よくある疑問
猛禽類の握力は何キロある?
今回紹介した飼育経験からは、数値は分かりません。別の種類で測定された値を、そのまま私のハリスホークの握る力として紹介することもできません。ここでは、普段と興奮時の違いを体感した経験としてお伝えしています。
片足で餌を押さえていても不思議ではない?
私のハリスホークでは、片足で押さえる姿も両足で押さえる姿も見ています。ただし、この経験だけで、個々の鳥の足の状態や健康を判断することはできません。
足と爪は、狩りのときだけ使う?
私の飼育下では、グローブにとまるときにも、与えた餌を押さえるときにも使っています。狩猟場面だけでなく、普段の食事からも足の働きを見ることができます。
足元を見ると、ハリスホークの違う表情が分かる
普段は静かにグローブに乗っていても、何かを見つけると足に力が入る。食事では片足や両足で餌を押さえ、くちばしを使う。こうした場面に、猛禽類の足の働きを感じます。
顔つきや翼だけでなく、足元にもそのときの反応が表れます。無理に触れたり動かしたりせず、普段の姿を観察しているだけでも、気づかされることがあります。

