猛禽類にも、捕食される相手や、集団で威嚇・追い払いをしてくる鳥がいます。ただし、「食べるために襲うこと」と「その場所から追い払うこと」は分けて考える必要があります。
私もハリスホークを外で飛ばしている中で、カラスや、海鳥のように見えた鳥たちに集団でモビングされた経験があります。特に数が多いときは大変でした。手に据えているときに、背後から襲われたこともあります。
この記事では、猛禽類の天敵とモビングの違いを整理しながら、飼育中に経験した野鳥との接近や、私のハリスホークの反応を紹介します。
猛禽類にも天敵はいる?「捕食」と「追い払い」を分けて考える
猛禽類が、別の猛禽類に食べられることもある
猛禽類はほかの動物を捕らえる側ですが、すべての種類・すべての場面で捕食されないわけではありません。
例えば、北米などに生息するアメリカワシミミズクについて、コーネル大学鳥類学研究室は、食べ物にタカ類やフクロウ類も含まれると説明しています。これは猛禽類同士でも捕食が起こる例です。日本の飼育個体の周囲にそのまま当てはめる話ではありません。
参考:Cornell Lab「Great Horned Owl Life History」
「猛禽類の天敵はこの一種」と決まるものではなく、鳥の種類や成長段階、暮らしている環境などを分けて考えたいところです。
カラスが追いかけていても、捕食とは限らない
一方で、カラスなどが猛禽類に近づき、鳴いたり追いかけたりしている場面は、捕食ではなく「モビング」と呼ばれる行動の可能性があります。
モビングとは、脅威になる相手に対して、鳴き声や接近などで威嚇・追い払いをする行動です。巣や幼鳥、縄張りなどを守る場面で見られ、一羽で行うことも、複数の鳥が加わることもあります。
参考:Cornell Lab「小さな鳥が大きな鳥を追いかけるのはなぜ?」(英語)
| 場面 | 見分けて考えたいこと |
|---|---|
| ほかの鳥を捕らえて食べる | 捕食の関係 |
| 鳴いたり接近したりして追い払う | モビングなどの威嚇・防衛行動の可能性 |
| 近くへ飛んできただけ | それだけでは、捕食や攻撃の意図は分からない |
鳥が近づいてきたという事実だけで、すべてを「狩りに来た」と捉える必要はありません。ただし、飼育している鳥を連れている立場では、相手の意図を確定できなくても周囲の状況を見ることが大切だと感じています。
カラスのモビングでは、数の多さに苦労した
私が経験した中では、カラスは特に数が多く、大変でした。一羽との関係だけを見ていればよい状況とは違い、複数の鳥が周囲にいること自体が気になりました。
そのとき、私のハリスホークは身構えたり、相手に向かっていこうとしたりすることが多かったです。必ず逃げようとするわけではありません。
ただ、向かっていこうとするからといって、飼い主が「勝てるから大丈夫」と考えてよいわけではありません。私としては、相手との強さ比べより、自分の鳥をどう落ち着いて見られる状態に戻すかが気になる場面でした。
「カラスと猛禽類はどちらが強い?」だけでは説明できない
一羽同士で獲物を捕らえる能力と、複数の鳥から追い払いを受ける状況は違います。カラスに追われている場面だけで、すべての猛禽類とカラスの強弱を決めることはできません。
猛禽類の足や爪に力があることと、周囲の鳥を気にせず安全に過ごせることも別です。握る力や餌を押さえる姿は、猛禽類の足と爪の役割で紹介しています。
カラス以外の鳥からも、集団でモビングされたことがある
カラスとは別に、海鳥のように見えた鳥たちから、多数でモビングされた経験もあります。こちらも数が多く、大変でした。
このときの鳥の種類は特定できていません。そのため、カモメやウミネコなどの名前を推測で当てはめず、ここでは「海鳥のように見えた、種類不明の鳥」としておきます。
私が気になっていた一方で、ハリスホーク自身はあまり気にしていないように見えるときもありました。カラスに対して身構えたり向かっていこうとしたりしたときと、同じ反応ではなかったのが印象に残っています。
もっとも、反応が目立たないことは、危険がないという証明ではありません。また、周囲に巣があったか、なぜ集まってきたのかまでは確認できていないので、この経験の原因を繁殖期や巣の防衛と断定することもできません。
野生の猛禽類は近づいてきたが、モビングまでは経験していない
野生の猛禽類が接近してきたこともあります。ただ、私が経験した範囲では、カラスや先ほどの鳥たちのようにモビングされるほどではありませんでした。
ここで言えるのは「近づいてきた」ということまでです。こちらを捕食しようとしていたのか、縄張りを気にしていたのかといった意図は分かりません。
そもそも私が野外で「猛禽類だ」と分かるようになったきっかけは、フリーフライト中に自分のハリスホークが襲われないよう、周囲を見る必要があったからです。すべての種類を正確に判別できるわけではありませんが、自分の鳥だけでなく、その周りに何がいるかにも目が向くようになりました。
尾の形や飛び方など、私が見ている手掛かりは、猛禽類の見分け方|トビ・ノスリの観察ポイントにまとめています。
私は基本的に呼び戻して様子を見る。ただし手元でも油断できない
呼び戻すのは、私が行っている対応の一つ
周囲の鳥が気になるとき、私は基本的にハリスホークを呼び戻し、様子を見ています。
これは訓練している自分の個体に対して行っている対応です。どの鳥でも、どんな状況でも呼べば戻ってくる、という意味ではありません。また、この記事は未訓練の鳥を屋外で放すための手順ではありません。
屋外へ慣らしてきた経験は、ハリスホークの散歩・据え回しで紹介しています。
手に据えているときに、背後から襲われた経験もある
私には、ハリスホークを手に据えている際に、背後から襲われた経験もあります。手元に戻ったことだけで、周囲の鳥との接近がなくなるわけではありませんでした。
この経験があるため、「人が近くにいれば野鳥は来ない」「手に据えればそれで安全」とは書けません。飼い主のそばにいることと、周囲から接近されないことは別だと感じています。
相手に向かっていく様子を面白がって接近させたり、撮影のためにその状況を続けたりすることは勧めません。呼び戻したあとも接近が続くなら、その場で様子を見続けることにこだわらず、距離を取る・活動を中止する判断が必要です。
猛禽類の天敵・モビングについてよくある疑問
カラスは猛禽類の天敵ですか?
追い払ってくる相手という意味では脅威になることがありますが、モビングしていることだけで「その猛禽類を捕食する天敵」とは言えません。捕食と威嚇・追い払いを分けて考えてください。
ハリスホークが向かっていくなら、怖がっていない?
私の個体も身構えたり、相手に向かっていこうとしたりしました。ただ、その行動だけで気持ちや安全性を判断することはできません。あまり気にしていないように見える場面もあり、反応はいつも同じではありませんでした。
モビングはカラスだけがする行動ですか?
いいえ。カラス以外の鳥にも見られる行動です。私自身も種類不明の鳥たちから集団でモビングされたことがあります。ただし、その体験を特定の鳥の種類全体の性質として説明することはできません。
猛禽類を連れていると、周囲の鳥にも目が向く
猛禽類は獲物を捕らえる側ですが、ほかの鳥から追われたり、接近されたりすることもあります。私がカラスのモビングで強く感じたのは、相手の数が多いと大変だということでした。
自分のハリスホークが身構えるときもあれば、あまり気にしていないように見えるときもあります。それでも、手に据えた状態で背後から襲われた経験がある以上、本人の反応だけを安全の目安にはできません。
「猛禽類だから強い」で終わらせず、周囲にいる鳥やその動きも見る。私が猛禽類を見分けることに関心を持ったのも、自分の鳥を守りたいというところからでした。

