ハリスホークを逃した裁判について

猛禽類の羽と翼の役割|ハリスホークの飛び方と日常の仕草

提供写真を基に制作した、翼を広げるハリスホークと記事タイトルのアイキャッチ ハリスホークの豆知識
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猛禽類の翼は、羽ばたいて飛ぶだけでなく、速度や進む方向を調整するためにも使われます。尾羽も飛行を支える大切な部分です。

ハリスホークを飛ばしていると、翼を広げて減速する、尾羽を広げて曲がる、狭い場所で翼をたたむといった動きに目を奪われます。以前、竹藪の中から呼び戻したとき、翼をきれいに折りたたむようにして戻ってきた姿には感動しました。

一方で、狩りでは藪に突っ込み、羽が擦れたり折れたりすることもあります。この記事では、羽と翼の基本的な役割に加えて、飛行中や普段の暮らしで見てきた動き、羽を傷めないために気をつけていることを紹介します。

猛禽類の「羽」と「翼」はどう違う?

日常会話ではどちらも「はね」と呼びますが、この記事では、一本一本の羽毛を「羽」、鳥の前肢にあたる、羽を広げて動かす部分を「翼」と呼び分けます。

翼には飛行に関わる長い羽が並び、体を覆う羽や尾羽とは位置も役割も異なります。羽は空を飛ぶためだけのものではなく、体の熱を保つなどの働きも持っています。

部分 主な役割
翼の風切羽 空気を受け、揚力や推進力を生む働きに関わる
尾羽 飛行中の方向調整などを助ける
体を覆う羽・綿羽 体の表面を覆う、熱を保つなどの働きがある

羽の構造や役割は、コーネル大学鳥類学研究室の「All About Feathers」(英語)でも図とともに紹介されています。

飛行中は、翼と尾羽の動きに目を奪われる

翼を大きく広げたハリスホーク。風切羽と尾羽が見える
翼を広げたハリスホーク。提供写真を掲載。

翼を広げて減速し、尾羽も使って向きを変える

私が見ていて印象に残るのは、着地に向けて翼を広げて減速する場面や、尾羽を広げながら曲がる場面です。ただ羽ばたくだけでなく、翼や尾羽の形が刻々と変わっていきます。

尾羽はよく「舵」に例えられますが、尾羽だけで曲がっているわけではありません。翼の動きや体の姿勢と合わせて見ると、飛行中の調整の細かさが感じられます。

複数の個体を見ていると、同じような動きでも、私にはあまり上手ではないと感じられる子もいました。鳥ならすべての動作が最初から完璧、という印象ではありません。ただ、見たときの印象だけで、経験や体調などの原因までは決めつけられません。

竹藪から、翼をたたみながら戻ってきた

こちらが姿を見失っていても、呼ぶと戻ってきたことがあります。なかでもよく覚えているのは、竹藪の中から戻ってきたときです。

障害物のある場所を、翼をきれいにたたみながら抜けてきました。広げたときには大きく見える翼を、必要な場面ではすっと収める。その動きがとても鮮やかでした。

これは実際に見た経験ですが、狭い場所や藪の中を飛ばしても安全だという意味ではありません。後で触れるように、藪で羽が傷むこともありました。

関連記事:猛禽類の視力と、ハリスホークが周囲を見つける力

飛んでいないときにも、翼を広げる

足や翼を伸ばす、ストレッチのような仕草

普段の生活でも、足や翼を伸ばしていることがあります。見た目は、人間が体を伸ばすストレッチのようです。

飛行中の力強い動きとは違い、止まっているときに伸ばす姿にも、翼の大きさやしなやかさが表れます。

日光浴と羽襖でも広げる

我が家では、日光浴中にも翼を広げます。また、餌を覆う「羽襖(はぶすま)」でも翼を使います。

同じ「翼を広げる」という動作でも、日光浴なのか、餌が目の前にあるのかで場面が違います。姿勢だけを切り取って気持ちを決めつけず、その前後に何をしていたかも一緒に見るようにしています。

日光浴を含む普段の過ごし方はハリスホークの水浴びと日光浴、餌を覆う行動は猛禽類の羽襖・マントリングで詳しく紹介しています。

狩りで羽が擦れたり、折れたりした経験

狩りをしていると、ハリスホークが藪へ突っ込むことがあります。そのため、羽が擦れたり、折れたりする経験もしてきました。

私は、傷んだ羽に継ぎ羽などをして、狩猟期間を乗り越えてきました。飛ぶ姿の美しさだけでなく、飛行を支える羽の状態に目を向ける必要があると感じる場面です。

継ぎ羽は、傷んだ羽を補う専門的な技術

継ぎ羽は、損傷した羽に別の羽を継いで補修する技術で、英語では「imping」と呼ばれます。ミネソタ大学のThe Raptor Centerでも、損傷した羽の補修に使われた例が紹介されています。

参考:羽の損傷を乗り越えたアカオノスリの事例(The Raptor Center・英語)

この記事では継ぎ羽の作業手順は扱いません。羽の傷み方によって対応は変わるため、補修の可否や飛行への復帰は、猛禽類を扱う獣医師や継ぎ羽の経験がある専門家に確認してください。

羽が傷んだことと、自然に生え変わる換羽は分けて考えています。換羽期の経験は、ハリスホークの換羽(トヤ)にまとめています。

尾羽を擦らないよう、パーチや輸送環境を見る

尾羽にも飛行を支える大切な役割があるため、パーチに止まっているときには、尾羽が周囲に擦れないよう気をつけています。止まれる場所があるかだけでなく、そこに止まったときに尾羽がどう収まるかも気になります。

輸送ケージについても、尾羽を擦らないために止まり木を設置するのはよい方法ではないか、と私は考えています。ただし、これは設置の効果を検証した結果ではなく、羽を守るという観点からの考えです。

以前紹介した我が家の桐箱は、床敷で使っており、止まり木は設置していません。実際に設置するなら、箱の高さや広さ、止まり木の位置、鳥が中で取る姿勢との兼ね合いを確認する必要があります。

止まり木を付ければ必ず尾羽を守れる、ということではありません。今の運び方を見直す場合も、個体と箱に合う配置を経験者に相談したい部分です。

関連記事:ハリスホークの移動・キャリーと、我が家の桐箱

翼の動きを楽しみながら、羽の状態も見ていく

着地前に大きく広げる翼、方向を変えるときの尾羽、竹藪の中を抜けるときの身のこなし。ハリスホークの飛行には、何度見ても印象に残る動きがあります。

その一方で、普段のストレッチや日光浴、羽襖にも翼は使われています。飛ぶときだけに注目せず、日常の姿を見るのも面白いところです。

狩りで羽が傷んだ経験があるからこそ、パーチや輸送箱の中で尾羽を余計に擦らないことも気にしています。動きの美しさと、それを支える羽の状態の両方を、これからも見ていきたいと思います。

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