猛禽類の耳は、頭の左右、目の後ろ側にあります。耳の穴は羽毛に隠れているため、普段は外から分かりにくい部分です。
私のハリスホークは、人の声にもホイッスルにも反応します。冷蔵庫を開ける音やキッチンの物音にも反応するため、「そろそろ餌の準備だ」と覚えているのではないかと感じています。
一方、狩場でこちらより先に藪の中の動きに気づくことはありますが、それが音によるものなのか、目で見つけているのかは分かりません。この記事では、猛禽類の耳と聴覚の基本を紹介しながら、飼育中に確認できた反応と、そこから私が考えていることを分けてまとめます。
猛禽類の耳はどこにある?
耳の穴は、目の後ろの羽毛に隠れている
タカやハヤブサなどの昼行性の猛禽類では、耳の穴は目の後ろ、やや下側にあります。犬や猫のように外へ突き出した耳介があるわけではなく、周囲の羽毛に覆われています。
頭の横を見ても耳らしいものが見えないのは、そのためです。耳が見えないことと、音を聞いていないことは別です。
参考:猛禽類の体の特徴(United Parks & Resorts・英語)
フクロウの「耳のような羽」は、本当の耳ではない
フクロウの仲間には、頭の上に耳のような羽が立っている種類もいます。この羽は「羽角(うかく)」と呼ばれ、耳の穴そのものではありません。
フクロウの本当の耳も、頭の左右の羽毛に隠れています。見た目の「耳らしさ」と、音を受け取る器官の位置は一致しないのです。
猛禽類の聴覚は、種類によって特徴が違う
猛禽類の聴覚を考えるとき、ハリスホークとフクロウの能力を同じものとして扱わないことが大切です。
たとえばメンフクロウでは、顔の周囲の羽がつくる「顔盤」が音を耳へ導きます。また、左右で非対称な耳の構造が、音の発生位置を捉えることに関わっています。Barn Owl Trustでは、こうした狩りに役立つ特徴が紹介されています。
ただし、メンフクロウについて分かっていることを、そのままハリスホークやすべての猛禽類に当てはめることはできません。
参考:メンフクロウの体の適応(Barn Owl Trust・英語)
ハリスホークは、声にもホイッスルにも反応する
うちの子は、私の声にもホイッスルにも反応します。私の飼育・訓練の経験では、音とその後に起こることが結びつくことで、合図として反応するようになると感じています。
「パブロフの犬」のようだ、と言うとイメージしやすいかもしれません。ただ、ここでは厳密な学習実験を行ったわけではなく、日々の反応を見た飼い主としての表現です。
声かホイッスルかだけでなく、それまでどのように使ってきた合図なのかが関わると思っています。音を鳴らせば、どの鳥でも最初から同じ行動を取るという意味ではありません。
合図を使った練習については、ハリスホークのジャンプアップと呼子の合図でも紹介しています。
冷蔵庫やキッチンの音も、餌の合図になっているように見える
意図して教えた合図だけでなく、生活の中で繰り返す音にも反応します。冷蔵庫を開ける音や、キッチンでの物音がその例です。
餌の準備中にキッチンで音がすると、餌鳴きをしたり、こちらへ飛んでこようとしたりします。私は「これから餌がもらえる」と認識しているのではないかと見ています。
ただし、音だけを聞かせて反応を比べたわけではありません。私がキッチンへ向かう姿や動作など、音以外の手がかりも一緒に捉えている可能性があります。
それでも、餌を見せる前から期待しているように見える姿は、一緒に暮らしていて面白いところです。教えたつもりのない日常の流れも、よく見ているのだと感じます。
関連記事:猛禽類の知能と、ハリスホークが経験から覚えているように見えること
藪の中への反応は、聴覚か視覚か分からない
狩場では、藪の中に動きがあったとき、人間の目ではまだ何も見つけられていないのに、ハリスホークが先に気づいている場面が何度もありました。
以前にも、足に力が入ったと思ったら藪を見つめていて、その後そこから鳥が飛び出したことがあります。私は「こちらには見えなくても、この子には見えているのだろうな」と思っていました。
ただ、音で察知したのか、枝葉や鳥の動きを見たのか、両方なのかは不明です。この経験だけを根拠に「ハリスホークは音だけで藪の中の獲物を見つけられる」とは言えません。
こちらより先に気づく鋭さには驚きますが、その仕組みまで観察だけで分かるわけではない。その点も含めて、印象に残っている経験です。
関連記事:猛禽類の視力と、獲物を見つけたときの反応
生活音への警戒は、一緒に過ごす中で変わってきた
繰り返し聞くうちに、気にしなくなる音もある
音に驚いたり、怖がっているように見えたりすることはあります。一方、長く一緒に過ごしていると、繰り返し耳にしても特に嫌なことが起きない音は、次第に気にしなくなるように感じています。
これはうちの子を見てきた中での印象です。どんな音でも聞かせ続ければ慣れる、という手順として紹介しているわけではありません。
掃除機は、音と見た目を切り分けられない
掃除機は今も嫌いです。ただ、掃除機には音だけでなく、本体やホースの動き、掃除をする人の動作もあります。私は、音と見た目がセットになって反応している面がありそうだと考えています。
似た道具としてドライヤーを思い浮かべますが、ハリスホークと一緒にいる場所では使っていないため、実際の反応は確認していません。「掃除機に似ているから同じように怖がる」とは、今の段階では言えません。
反応を見るときは、鳴った音だけでなく、何が動いたのか、誰が近づいたのかも合わせて考える必要があると感じています。
「聞こえていること」と「何を理解したか」を分けて見る
ハリスホークと暮らしていると、声やホイッスルへの反応だけでなく、餌の準備を先回りしているような反応にも気づきます。
ただ、反応があったことは確認できても、音だけを手がかりにしたのか、何を期待したのかまでは断定できません。藪の中への反応も、生活音への警戒も、その前後の場面と一緒に見るようにしています。
自分が出す音にどう反応するかを知ることは、普段の接し方を考えるきっかけになります。鳥自身が出す声については、猛禽類の鳴き声とハリスホークの声の違いで紹介しています。
