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鴛鴦(おしどり)の契り――仲睦まじい夫婦愛の象徴と実態

ハリスホークの豆知識

「鴛鴦(おしどり)の契り」という言葉は、日本や中国で夫婦の仲の良さを表す象徴的な表現として使われてきました。
そのイメージの元となったおしどりの生態もまた愛情深いものですが、実際の生態を詳しく見てみると、少し意外な事実もあります。
この記事ではここでは、おしどりの基本情報から、「鴛鴦(おしどり)の契り」の言葉の由来、さらにはリアルな生態について紹介していきたいと思います。

鴛鴦(おしどり)とは?

おしどり(学名:Aix galericulata)は鳥綱カモ目カモ科オシドリ属に分類される鳥で、主に日本をはじめ、中国やロシア南東部、朝鮮半島など主にアジアの森林地帯や湖沼、河川付近に生息しています。
日本では北海道や本州の中部以北で繁殖し、秋から春にかけて本州以南へ渡り越冬する鳥です。
雄(オス)は鮮やかなオレンジや緑、白の羽色を持ち、繁殖期には特に目立つ美しい姿となります。
一方、雌(メス)は地味な灰褐色の羽を持ち、周囲の環境に溶け込みやすい保護色が特徴です。
こうした色の違いが雄は異性へのアピール、雌は外敵からの保護という役割を果たすのは自然界ではよくある光景と言えます。

「鴛鴦(おしどり)の契り」の由来

おしどりは、繁殖期になると雄と雌がペアを組み、寄り添い合う姿がよく見られます。
この仲睦まじい姿が古代から人々に愛され、夫婦愛や絆の象徴として親しまれるようになりました。
特に中国の古典文学や詩には、おしどりが「永遠の愛」や「忠実な夫婦」の象徴として登場しています。
こうした文化的な影響を受け、日本でも「鴛鴦の契り」という言葉が定着し、多くの芸術や文学作品の中でも、夫婦や恋人の愛の象徴として描かれています。
ですがこの「一生添い遂げる」というイメージは、必ずしも実際のおしどりと一致するわけではないのです。

おしどりの実際の生態と繁殖行動・子育て

おしどりは確かに繁殖期に一夫一妻のペアを形成しますが、この関係は一生続くものではありません。
ペアの結びつきはその年の繁殖シーズンに限られ、翌年には新しいパートナーとペアを作ることが一般的なのです。
そのため、実際には一生添い遂げる仲睦まじい夫婦の象徴とも言える「鴛鴦(おしどり)の契り」という言葉のイメージとは異なり、「ワンシーズン限定の契り」だというわけです。
なお、おしどりは繁殖期になると、雄は鮮やかな羽色を広げて雌にアピールし、ペアを形成します。
巣作りは水辺近くの木の洞や人工的な巣箱で行われ、雌がそこに7〜12個ほどの卵を産みます。
おしどりの場合、抱卵と孵化した雛の世話を雌が担うことが一般的で、卵が孵化した後、雛たちは巣から飛び降りて親鳥に導かれながら水辺に移動し、成長していきます。
一方で、雄は繁殖後にペアの雌から離れ、子育てに関与しないことが一般的です。
おしどり夫婦と聞くと、良き父母として子育てを共に担い、子が独立した後も仲睦まじい夫婦で居続けるようなイメージもあるかと思いますが、実際には雄のおしどりは育児にも参加しないんですね。

言い伝えと自然界とのギャップを楽しもう

「鴛鴦(おしどり)の契り」や「おしどり夫婦」という表現は、仲睦まじい夫婦愛を象徴する美しい解釈の一つと言えます。
一方で、実際のおしどりの生態には、繁殖期ごとにパートナーを変え、雄は子育てには参加しないという現実的な側面もあります。
このギャップを知ることで、自然界の多様性や人間の感性の豊かさをより深く理解できるでしょう。
おしどりの姿を自然の中で観察する際には、そうした背景を思い浮かべながら、その年のペアの愛情深い姿を楽しむのもまた一興、と言えるかもしれませんね。

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