猛禽類は人を襲う?ハリスホークの威嚇と飼育中に感じた危険

止まり木にとまるハリスホークを描いた、猛禽類の威嚇と飼育体験の記事用イラスト ハリスホークの豆知識
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猛禽類が人に向かって飛びかかったり、足を出したりすることはあります。ただし、巣を守る場面、人が持つ食べ物を狙う場面、飼育中に接触を嫌がる場面では、状況が異なります。「人を襲う」という言葉だけで、すべてを同じ行動として考えないことが大切です。

私のハリスホークは、子どもに威嚇鳴きをしたことがありますが、そのときに襲いかかったことはありません。一方、別の個体のメンテナンスに関わった際には、手から離れた鳥に後頭部を蹴られた経験があります。

この記事では、資料で確認できる野生の猛禽類の行動と、私が飼育やメンテナンスの場面で経験したことを分けて紹介します。

猛禽類が人を襲うのはどんなとき?

野生では、巣に近づいた人への攻撃が知られている

野生の猛禽類には、巣の近くで人を攻撃する例があります。コーネル大学鳥類学研究室の解説では、北米のAmerican Goshawkについて、巣に近づきすぎた人を攻撃することがあると紹介されています。これは、巣を守る行動として説明されています。

この事例を、猛禽類なら種類や場所を問わず人を襲うという意味に広げることはできません。ただ、観察のためでも巣へ近づきすぎないこと、威嚇されても撮影や接近を続けないことは意識したい点です。

出典:Cornell Lab of Ornithology:American Goshawk

人の食べ物を狙って接近する場合もある

身近な例では、トビが人の持つ食べ物を狙って飛びかかる被害があります。神奈川県は、人の後方上空から急降下して食べ物を持ち去ろうとすることや、爪でけがをする危険を案内しています。

この場合は、人そのものを獲物として狙う話とは分けて考える必要があります。野外でトビを見かける場所では食べ物をむき出しにせず、野生の鳥に餌を与えないようにしましょう。

出典:神奈川県:トビに注意

飼っているハリスホークが子どもに威嚇した経験

私のハリスホークは、子どもに対して威嚇するように鳴いたことがあります。ただ、その場面では飛びかかったり、実際に襲ったりすることはありませんでした。

ここで伝えたいのは、威嚇があったことと、攻撃があったことは別だということです。子どもに反応した理由を、この経験だけで断定することもできません。

「うちの子は襲わなかった」という経験はあっても、それだけで次も大丈夫、ほかの個体も大丈夫とは考えないようにしています。相手が触りたがっているかよりも、鳥がどんな様子を見せているかを優先したいところです。

普段の声や場面による違いは、猛禽類の鳴き声とハリスホークの声の記事でも紹介しています。

別の個体に後頭部を蹴られたこともある

一方で、別の個体には、私自身が襲われた経験があります。その子のメンテナンスのため、普段と異なる、鳥にとって馴染みのないグローブを使って保定しようとしていたときのことです。保定とは、処置などのために鳥の動きを支えることです。

室内で鳥が手から離れてしまい、後頭部を蹴られました。普段飼っている自分のハリスホークが子どもに威嚇した話とは、別の出来事です。

馴染みのないグローブを使っていたことは、そのときの状況として覚えています。ただし、グローブだけが攻撃の原因だったと確認できたわけではありません。保定されることや、その場にいる人、周囲の状況など、何がどの程度影響したのかまでは分かりません。

この経験からは、室内にいることや、メンテナンスのための接触であることだけで安全とは言えないと感じています。鳥が手から離れたときに、人へ足を使って接触することもある。その点は、実際に経験したこととして伝えておきたいです。

足や爪の働きそのものについては、猛禽類の足と爪の記事で紹介しています。

危ないと感じる前に見られた仕草

身構える、威嚇鳴き、それでも続くと足が出る

私の経験では、まず身構えたり、威嚇するように鳴いたりして、それでも嫌がる状況が続くと足が出る、という印象があります。

資料でも、ハリスホークが攻撃的な姿勢を示す際に、体を地面と水平に近づけ、翼を下げ、頭・首・背中の羽を立てることがあると説明されています。ただし、これは私が見たすべての場面で同じ姿勢があった、という意味ではありません。

出典:Cornell Lab of Ornithology:Harris’s Hawk Life History

鳴いていないから安全、とは判断しない

身構えや威嚇鳴きは、接触を続けてよいか考え直すきっかけになります。一方で、私が経験した流れを「必ず鳴いてから足が出る」という決まった順番として使うことはできません。

触っている途中や、距離を詰めたときに鳥の様子が変わったら、反応を確かめようとさらに刺激するのではなく、接触をやめる判断が必要です。初めて会う個体なら、普段どんな反応をするのかも分からない前提で接したいと思っています。

人との接触で私が気をつけていること

基本的に、ほかの人には触れさせない

私は基本的に、ほかの人にハリスホークを触らせないようにしています。触りたいと頼まれて応じる場合には、鳥の顔を私のほうへ向けて背中に触れてもらい、足元は触らないように伝えてきました。

ただし、これは私が自分の個体に対して行ってきた対応であり、その向きにすれば安全に触れる、背中なら誰でも触ってよい、という方法の紹介ではありません。触れ合いを前提にせず、飼い主や施設の担当者の判断に従い、許可なく手を出さないことが基本です。

特に子どもが興味を持っている場面でも、見せることと触らせることは分けて考えています。鳥が嫌がっているときに、無理に触る機会を作る必要はありません。

餌に向かって足が出る場面と、人への攻撃を分ける

私のハリスホークは、餌に対して足を出すことがあります。ただ、今までに、餌と間違えて私の手を掴んだことはありません。

足が出たという見た目だけでは、餌を掴もうとしているのか、人との接触を嫌がっているのかは同じに扱えません。何をしていたときの反応かを合わせて見るようにしています。

これまで手を掴まれていないことも、そのまま将来の安全を保証するものではありません。餌を扱う場面では、鳥の足の動きに引き続き気を配っています。

普段のメンテナンスでも、慣れだけを頼りにしない

普段のメンテナンスでは、保定をしっかり行うことを意識しており、その際に掴まれたり、けがをしたりしたことはありません。先に紹介した、別個体を保定しようとして鳥が手から離れた出来事とは、場面を分けてお伝えします。

また、メンテナンス時には噛むこともあるため、足だけを見ていればよいとは考えていません。普段の甘噛みなどとの違いは、猛禽類のくちばしの役割と噛む場面で紹介しています。

この記事は保定や爪・くちばしの処置を再現するための手順書ではありません。慣れていない個体の保定や処置は、文章だけを頼りに試さず、猛禽類の扱いに詳しい飼育者や、鳥を診療する獣医師に相談してください。

猛禽類の危険性は、個体と場面を分けて考える

子どもに威嚇したけれど襲わなかったこと。別の個体から後頭部を蹴られたこと。普段の給餌では手を掴まれていないこと。どれも私の経験ですが、ひとつの出来事だけで猛禽類全体の性格や安全性を決められるものではありません。

一緒に暮らす中で反応が分かってきても、鳥が嫌がる状況や、初めて接する人との距離には注意が必要です。身構えや声の変化を見ながら、無理に接触させないことを大切にしています。

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