ツミは、ヒヨドリからハトほどの大きさの、小型のタカです。林だけでなく都市の公園でも繁殖し、小鳥を主な餌にしています。
似ているハイタカと比べると、ツミは小さめで、眉のような白い模様が目立ちにくいことが手がかりになります。ただし、体の大きさや模様は性別・年齢で変わるため、一つの特徴だけで種類を決めるのは難しい鳥です。
この記事では、ツミの体の特徴と生態、ハイタカと比べるときの見どころ、住宅地で出会ったときの注意点を紹介します。識別用の実写写真は、本文中の日本野鳥の会などの図鑑リンクから確認できます。
ツミとは?身近な緑地にも暮らす小型のタカ
ツミはタカ目タカ科の猛禽類です。日本野鳥の会「ツミ」では、全長27〜30cm、翼を広げた長さ51〜63cmと紹介されています。オスはメスより小さく、ヒヨドリほどの大きさです。
ツミのように小さな鳥も猛禽類に含まれます。「猛禽類」と聞いて大型のワシを思い浮かべていた方には、少し意外かもしれません。仲間の範囲は、猛禽類とは?意味と特徴でまとめています。
低地から低山の林に加えて、都市部の公園でも繁殖します。ただし、「公園にいた小さなタカだからツミ」とは限りません。似た鳥を含めて、姿を照合することが大切です。
ツミのオス・メス・幼鳥は同じ姿ではない
成鳥のオスは小さめで、胸や脇に赤みがある
成鳥のオスは、背中側が青みを帯びた暗い色で、胸から脇には淡い赤褐色が見られます。ただし、赤みの強さには個体差があります。赤っぽく見えないことだけを理由に、オスではないと決めないようにしましょう。
成鳥のメスは大きめで、下面の横じまも確認点
メスはオスより大きく、淡い腹側に暗色の横じまが見られます。目の色も、成鳥ではオスが暗い赤系、メスが黄色系という違いがあります。こうした羽色・眼の特徴は、バードリサーチの生態図鑑「ツミ」(PDF)で説明されています。
とはいえ、遠い鳥の目の色を無理に読み取る必要はありません。逆光や木陰では色が分かりにくいため、見えた部分と見えなかった部分を分けて記録してください。
幼鳥を成鳥の特徴だけで見分けない
幼鳥は成鳥と羽色や模様が異なります。バードリサーチの生態図鑑では、幼鳥や若鳥には眉斑があると説明されています。ツミにも眉斑が見える場合があるため、眉斑の有無だけではハイタカと区別できません。成鳥のオスの写真だけを見て覚えると、幼鳥に出会ったときに迷いやすくなります。日本野鳥の会の図鑑にはオス・メス・幼鳥の写真があるので、観察後に並べて見ると参考になります。
「赤い目だからツミ」「横じまだからメス」と一段階で決めず、まず種類の候補を絞り、そのうえで年齢や性別を考えましょう。
ツミとハイタカの違いは?大きさ・眉斑・尾を比べる
ハイタカは、ツミによく似た小型のタカです。日本野鳥の会「ハイタカ」では全長32〜39cm、翼開長62〜76cmとされ、ツミより眉斑が目立つと説明されています。
眉斑は、目の上にある眉のような模様です。以下の表は、二種を比較するための目安であり、見かけた鳥が必ずどちらかに当てはまるという意味ではありません。
| 確認点 | ツミ | ハイタカ |
|---|---|---|
| 全長の目安 | 27〜30cm。オスのほうが小さい | 32〜39cm。メスのほうが大きい |
| 目の上の眉斑 | 比較的目立ちにくい | ツミより目立つ傾向がある |
| 尾の見え方 | ハイタカと比べると短く見える | ツミと比べると長く見える |
| 色・模様を見るとき | 性別と年齢をそろえた写真で照合し、輪郭などもあわせて判断する | |
全長・眉斑は上記の日本野鳥の会の図鑑、尾などの比較は国土交通省太田川河川事務所「ハイタカ」を参考にしています。
大きさは、距離の違う鳥同士で比べにくい
図鑑の全長には違いがあっても、野外で飛ぶ鳥の長さを正確に測ることはできません。遠くのハイタカが、近くのツミより小さく見える場合もあります。大きさは候補を考える手がかりにし、眉斑や尾の見え方も確かめます。
眉斑が見えないことと、眉斑がないことは違う
ハイタカの眉斑にも個体差があります。横顔が見えなかったり、写真が暗かったりする場合は、「眉斑は確認できず」と残せば十分です。一本の線の有無だけで、ツミと断定しないようにしましょう。
尾の長さは、体とのバランスで見る
飛んでいる姿では、体に対して尾がどのくらい長く見えるかも確認点です。ただし、尾を開いた場面と閉じた場面、正面と横向きでは見え方が変わります。図鑑と同じ角度の写真があれば照合しやすくなりますが、判断できないときは「小型のタカ・種類不明」で構いません。
トビやノスリなども含めた観察の基本は、猛禽類の見分け方をご覧ください。
ツミは何を食べる?住宅地で見られる理由
小鳥を主な餌にする
ツミは、スズメなどの小鳥を捕らえて食べます。サントリー「日本の鳥百科:ツミ」では、カワラヒワやホオジロなども主な獲物として紹介されています。
小さな体をしていても、くちばしと足を使って獲物を食べる猛禽類です。野外で捕食しているところを見ても、餌を取り上げたり、ほかの鳥を守ろうとして追い払ったりせず、その場から静かに離れましょう。
住宅地での繁殖は研究でも報告されている
ツミが住宅地にいるのは、必ずしも迷い込んだからではありません。日本におけるツミの繁殖状況を調べた研究(1991年、PDF)では、住宅地やその周辺での繁殖が報告されています。
これは過去の調査結果なので、現在のすべての地域に同じ傾向があるとはいえません。それでも、身近な緑地がツミの生活の場になることを知る手がかりになります。見つけた場所が住宅街でも、野鳥として距離を保って接することが大切です。
ツミの鳴き声を聞いたときの確認方法
ツミの代表的な声は、「ピョーピョピョピョ」と終わりに向かって下がるように表されます。ただし、声には複数の種類があり、文字だけで似た鳥と確実に区別するのは難しいものです。
鳴いている鳥の姿を確認できたか、その場に別の鳥がいなかったかもメモしておきましょう。聞き比べには日本野鳥の会の音声資料を利用できます。
音声は自宅などで確認し、野外でツミを呼び寄せるために再生しないでください。サントリーの鳥百科でも、野鳥が仲間の声と間違える恐れがあるため、屋外での再生を控えるよう案内されています。
住宅地や公園でツミを見かけたら
巣を探さず、鳥が普段の行動を続けられる距離を保つ
ツミがとまっているからといって、その木へ近づいたり、枝を動かしたりしないようにしましょう。巣やヒナに気づいた場合は、その場から離れてください。日本野鳥の会監修の野鳥撮影マナーブック(PDF)でも、巣には近づかないよう呼びかけています。
人を気にして鳴く、こちらを注視するなどの様子があれば、観察を続けるより距離を取ります。飛ぶ姿を撮るために驚かせたり、餌で誘い出したりする必要はありません。
営巣場所や住宅の位置が分かる情報を広めない
写真を投稿するときは、巣の位置を示す地図、位置情報、目印になる建物などに注意してください。人が集まると、鳥の暮らしだけでなく、周辺の住民や公園の利用者にも影響します。
日本野鳥の会監修の野鳥撮影マナーブック(PDF)も、巣への接近や鳥を追い回す行為を避け、出現情報の公開による混雑に気をつけるよう呼びかけています。
地面にいるヒナを、すぐに連れ帰らない
巣立ったばかりの鳥は、まだ上手に飛べないことがあります。地面にいるだけで親から見捨てられたと判断せず、近づかずにその場を離れることを基本にしてください。詳しくは東京都環境局「ヒナを拾わないでください」が参考になります。
明らかなけがなどで対応に迷うときは、自分で捕まえたり餌を与えたりする前に、地域の鳥獣保護担当窓口や公園管理者に相談しましょう。
ツミは、複数の特徴を少しずつ照合して覚えよう
ツミを見分けるときは、小さな体、目立ちにくい眉斑、尾のバランスなどを組み合わせて確認します。似ているハイタカも含め、性別や年齢で姿が変わる点を忘れないようにしましょう。
その場で名前が分からなくても、見えた特徴を残せば次の観察に役立ちます。書く項目に迷ったら、猛禽類の観察記録の付け方も参考にしてください。

